凛として時雨

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Interview

Interview

345

×

桐谷広人

桐谷
「(到着して席に着くなり)こちらの会社には以前お邪魔したことがあります。乃木坂46の女の子たちと写真を撮りまして。ツーショットずつで」
345
「個別にですか? メンバー大勢いるし、大変そうですね」
桐谷
「いやいや、私が希望したわけじゃないんです。みなさんが私と写真を撮りたいということで、20数人と写真を撮りまして」
345
「乃木坂46のメンバーはご存知だったんですか?」
桐谷
「もともとは一人も知りませんでした。ただ、メンバーの橋本奈々未さんがブログで私のことを書いてくださって。そのブログにコメントが1700ぐらい付いて、そのうちの三分の二ぐらいが私のことだったみたいで。それがきっかけになって、こちらの会社に来て橋本さんと対談したことがあったんです」
345
「そうだったんですね」
桐谷
「ええ。橋本さんが私のファンということで、小学館の『DIME』という雑誌で対談しました。ただ、ごめんなさい。今日の対談ですが、私、345さんのことは全然存じ上げなくて」
345
「そうだと思います(笑)」
桐谷
「事前に送っていただいたCDを昨日、寝る前に一通り聴いたんですけども……あの、私、ロックは苦手でして。非常に申し訳ないんですが」
345
「大丈夫です。一方的にコチラが桐谷さんのファンなので(笑)」

──あまりに好きすぎて、先ほど桐谷さんが到着した時点で涙ぐんでましたよね(笑)。

345
「すいません(笑)。そうなんです。今日はよろしくお願いします」
桐谷
「はい、お願いします」

──そもそも345さんが桐谷さんを知ったきっかけは?

345
「『月曜から夜ふかし』というマツコデラックスさんの番組に桐谷さんが出てらしたのを観たのが最初です」
桐谷
「もともと、マツコさんが私を気に入ってくださったことで、番組に出させていただいて、それがきっかけになり私の人気が出たというようないきさつがありまして。マツコさんには非常に感謝してるんです」

──345さんは桐谷さんのどんなところが気になったんですか?

345
「えーと……」
桐谷
「(遮るように)事前に頂いた345さんのプロフィールを見たら、ヤクルトスワローズのつば九郎も好きとか書いてあったので、案外、彼女は気が多いのかなと思いました(笑)」
345
「あはは。そうかもしれません(笑)。でも、キャラクター的といったら失礼かもしれないですけど、桐谷さんが一生懸命自転車をこいでたり、株主優待券を使うために真面目にボーリングしたりだとか、そういう姿を見て素敵だなと思ったんです」
桐谷
「私としては普通のことをやってるんですけども、『月曜から夜ふかし』で放映されたら、345さんのように私に興味を持ってくださる方が増えて」
345
「ああいうふうに常に“何かしなきゃ”みたいな感じで生活されてるんですか?」
桐谷
「私は無駄が嫌いなんですね。株主優待券っていうのは期限がありますので、使わないと紙切れになっちゃうんですよね。クオカードとかお米券とか、紙切れにならないものもありますけど。普段からこうして色々持ち歩いてるんですけど。(財布から大量の優待券を出す)」
345
「すごい」
桐谷
「これらが紙切れになるのは残念じゃないですか。無駄にしないためには使うしかないんです。とはいえ1日は24時間しかないんで、必死で使ってるわけでして。あと、リーマンショックで全然お金がなくなりましたんで、やむをえず優待券で生活するしかなかったんです。講演会とかで色んな人にお会いすると、“桐谷さんってテレビのまんまですね”とか言われたりするんですけども、テレビに合わせてこういう生活をしてるわけではないんですね」
345
「テレビに出演してから、街なかで気付かれることとか増えましたか?」
桐谷
「それはしょっちゅうですね。自転車で走ってても、クルマで追い抜きざまに、“頑張ってください”とか、よく言われますし」
345
「毎日、自転車で走ってるんですか?」
桐谷
「ええ、ほとんど毎日乗ってます」
345
「私はクルマを運転するんですけど、いつも、“桐谷さんはいないかな?”って注意深く見るようにしてるんです」
桐谷
「ああ、そうですか。中野~新宿間はしょっちゅう走ってますけども」
345
「中野~新宿間ですね。覚えておきます(笑)」
桐谷
「自宅から新宿のスポーツクラブによく行ってるので。新宿で映画を観たりとか食事をしたりすることも多いです」
345
「基本的に移動手段は自転車なんですか?」
桐谷
「そうですね。私は60歳を過ぎてるので、消費税が上がるまでは映画もシニア料金の1000円で観れたんですよ。たとえば映画を観に銀座に行くとして、私の場合、優待券で1000円がタダになるんですけど、有楽町までJRで行くと往復で620円かかっちゃうんですよね。620円かけて1000円の映画をタダにしてもらうのは率が悪いじゃないですか(笑)。自転車で行けば、丸々1000円タダになるわけです」
345
「たしかにそうですね(笑)」
桐谷
「あと、電車に乗っても、最寄り駅から目的地まで歩いて結構かかったりする場合があるじゃないですか。その点、自転車だったらピュッと行けるんで。今日も自転車で来ましたけど、中野の自宅からここまで来るのでも、地下鉄に乗ってくるよりも断然自転車のほうが早いわけですよね。都内だと、地下鉄とかJRに乗るよりも自転車のほうが早いですから」
345
「どんなに寒くても自転車で移動してるんですか?」
桐谷
「そうですね。今日なんかでも、ちょっと汗が出るぐらいで」
345
「えっ! 今日、結構、寒いですけど……」
桐谷
「ジャンバーなんか着てたら汗びっしょりになるんで。これぐらいの寒さがちょうどいいんです。だから冬のほうがいいですね、自転車に乗るのは」
345
「私もたまに自転車に乗るんですけど、冬だと寒くて、もう乗りたくないと思っちゃうんです」
桐谷
「あ、それは思いきり漕いでないからです(あっさり)」
345
「なるほど(笑)。これからは思いきり漕ぐようにします(笑)。ちなみに、いつも全力で自転車を漕いでらっしゃるのは、いかにして早く、効率よく、目的地に到着するか、みたいなところがあるんですか?」
桐谷
「というか、私は18年ぐらい前から糖尿病でして、糖尿病患者は歩いたほうがいいらしいんですよ。それで一生懸命歩いて、一時は糖尿病も良くなったんですけど、リーマンショックの時に悪化しましてね。ニューヨークの株が暴落するんじゃないかと思って、夜寝れなくなっちゃったんです。それで深夜に近所を散歩してたんですけど、全然楽しくないんですよ」
345
「あまり風景が変わらないですもんね」
桐谷
「そうなんです。だったら自転車に乗って一生懸命走って、知らない街に行ったほうが楽しいじゃないですか。つまり糖尿病の治療として自転車を一生懸命漕いでるっていうところもあるんです。たまに電動式とか、競技用タイプの自転車を勧められることもあるんですけど、それだとあんまり力がいらないじゃないですか。ママチャリだと漕ぐのに力がいるんで、糖尿病にもいいんですね」
345
「なるほど! ママチャリに乗られてるのには、ちゃんとした理由があったんですね」
桐谷
「ええ」
345
「桐谷さんは普段から、頻繁にジムにも行かれてるわけですよね」
桐谷
「優待券がいっぱいありますから」
345
「そういえばそうですよね(笑)」
桐谷
「まあ、そういう理由がありつつも、以前はちゃんと身体を鍛えに行ってました。ですけど、最近、ジムには入浴しにいくぐらいになってしまいました」
345
「すごくお忙しいですもんね」
桐谷
「ただ、自分の家のお風呂はお湯を張るのが結構大変じゃないですか。洗ったりなんかするのも。ですから自宅のお風呂にはほとんど入らなくて、夕方ちょっと時間があれば新宿のジムに行って、15分くらいお風呂に入って、身支度して出かけたりとか。最近は入浴するぐらいでしかジムは使ってないです。時間があれば、また身体を動かしたいですけど」
345
「もともと、運動はお好きだったんですか?」
桐谷
「そんなに好きじゃなかったです。プロ棋士はあんまり運動をしないんですけど、運動したほうが長生きするかなと思って」
345
「普段から健康には常に気を配られているんですか?」
桐谷
「若い時にインスタントラーメンの食べすぎで胃潰瘍になりましてね。その時に何ヶ月かメシが食えなくて死ぬかと思ったんですよ。私もずっと独り者で外食しててね。野菜とか全然食べてないんですよ。食生活も悪いし、遅寝遅起きしてるし、ですから少しぐらい運動はしたほうがいいかなと思って。私の父親が93歳でまだ生きているんですけど、毎朝、ランニングしてたんです。歳をとって走れなくなってからは6時くらいに起きて歩いたりして。歩くのって本当に健康にいいんですよ。そういえば近所に住んでいた、お爺さんもですね……」

(※以後、歩くことに関する素晴らしいお話が20分ほど続くが、泣く泣く割愛)

345
「ところで桐谷さんは普段、音楽を聴いたりしますか?」
桐谷
「それがですね、先ほども申し上げたように、私、ロックは全然聴かないんですよ。非常に申し訳ないんですが」
345
「ええ、大丈夫です(笑)」
桐谷
「ただ、しいていえば、私、もともと吉永小百合さんのファンだったんで、吉永小百合さんの歌は全部好きでしたね」
345
「へえ~、吉永小百合さん」
桐谷
「彼女の歌が一番いいと思ってたんですけど、東京に出てきたハタチぐらいの時、知り合いに“吉永小百合は歌が上手くない”って言われまして。その時は、“ええ!?”ってビックリしたんですけど、実際、他の歌手の方と聴き比べてみたら、あんまり上手くないなと思って(あっさり)。でも、当時は吉永小百合さんの歌が大好きだったんです」
345
「アイドルとしてお好きだったんですか?」
桐谷
「アイドルとして好きだったですね。吉永さんのファンクラブにも入ってましたし」
345
「そんなにお好きだったんですね」
桐谷
「六本木の●●●ビル(※実在するビル名のため割愛)の410号室にファンクラブがありまして」
345
「かなり細かく覚えてらっしゃるんですね(笑)」
桐谷
「私は19歳の頃からNETテレビ(※現・テレビ朝日)の将棋部の師範をやってましたので、毎月、六本木のテレビ朝日に通っていて。そのついでに、よくファンクラブにも顔を出したりしてました。ファンクラブのおばさんとは仲良くなれたんですけど、事務所では吉永小百合さんとは一度もお会いできなかったですね」
345
「それは残念です」
桐谷
「でも、ファンクラブの催しなんかに時々、参加させてもらって。だから吉永小百合さんの歌が一番好きです。あとはまあ、子供の頃に観てた、『怪傑ハリマオ』であるとか、『豹(ジャガー)の眼』であるとか、少年向けドラマの主題歌が好きですね。『月光仮面』であるとか」
345
「そういう曲をカラオケで歌われたりするんですか?」
桐谷
「カラオケは苦手なんですよ。『月曜から夜ふかし』で無理矢理歌わされることはありますけども(笑)。」
345
「あははは」
桐谷
「私は行きたくないんですけど、無理矢理、連れてかれてしまうので」
345
「音楽系の株とかはお持ちなんですか? レコード会社とか」
桐谷
「今は売ってしまいましたけど、エイベックスはずっと株主をやってました。CDとかDVDを結構送ってもらいましたね。向こうが選んだものが小包で送られてきて」
345
「コンサートの優待券とかもあるんですか?」
桐谷
「優待券というか、株主総会でコンサートが開かれるんです」
345
「株主さんに向けて、所属アーティストがライヴをやるんですね」
桐谷
「そうです。浜崎あゆみだとか、ああいう人が歌ったりして。でも、私は一度も行ったことがないんです。そもそも株主総会にも仕事がらみで2回しか行ったことがなくて。株主総会に行くとお土産が貰えるんで、1日で20ヵ所ぐらい回る人もいるんですけど」
345
「1日で20ヵ所ですか!」
桐谷
「ええ。私は億劫なので、あまり行かないんですけど。それで色んなお土産を貰ったことはあります。そういえば、その時、バンダイナムコという会社から花やしきのパスポートを貰いまして。あの、浅草にある遊園地の」
345
「はい、わかります」
桐谷
「ちょうど、その頃、『月曜から夜ふかし』のスタッフが私を遊園地に行かせたがっていたんですね。それでパスポートを貰った話をしたら、“花やしきに行きましょう!”ということになって、ジェットコースターに乗せられることになっちゃったんですよ。ガタガタいうようなジェットコースターでね。あれは本当に怖かったです。そしたら、私が怖がる姿を見てマツコさんが喜んじゃいまして。そこからジェットコースターに乗る企画がスタートしたんです」
345
「桐谷さん、かなり頻繁にジェットコースター乗られてますよね(笑)」
桐谷
「海外にも行きました。世界で一番絶叫マシーンがたくさんあるというロサンゼルスのシックスフラッグスという遊園地まで行ったり。5つの絶叫マシーンに乗ったんですけど、放送では2つしか紹介されませんでした」
345
「アメリカまで行ったのに、乗り損ですね(笑)」
桐谷
「こないだは無理矢理バンジージャンプをやらされちゃって。テレビというのは、すごく傲慢なんですね。その日、凄く忙しいスケジュールだったんですけど、“マツコさんが喜びますんで”と言われて、強引にロケを入れられて。そんなこと言われたら私も飛ばないわけにはいけないじゃないですか」
345
「ですよね(笑)」
桐谷
「帰りの新幹線の時間も迫ってましたから。それで、覚悟を決めて飛んだんですよ。そしたらカメラがズレて私の表情が映ってなくて」
345
「わ~、せっかく飛んだのに(笑)」
桐谷
「時間がなかったので、結局、映像が撮れませんでしたということになったんですけど。バンジーは2度とやりたくないですね」
345
「桐谷さんは、テレビに出る時とか緊張しないんですか?」
桐谷
「緊張は特にしないですね」
345
「私は人前に出ると、すごく緊張しちゃうタイプなんですけど、何か緊張しないコツとかありますか?」
桐谷
「コツというのは特にないですね(あっさり)」
345
「ないですか(笑)」
桐谷
「私はプロの棋士だったので、人前に出る機会もしょっちゅうありましたし、だから特にどうということもなかったです」
345
「昔から緊張しないタイプだったんですか?」
桐谷
「そうですね。ただバラエティに出る時は、緊張というか、恥かしい気持ちがありました」
345
「今は慣れましたか?」
桐谷
「そうですね。でも、最初は本当にイヤでイヤでしょうがなかったです。恥かしいしバカにされるし。それまでプロ棋士をやっていて、バカにされた経験とかなかったものですから」
345
「むしろ尊敬される立場ですよね」
桐谷
「最初に出たバラエティ番組は、カンニング竹山さんが主役をやってた『銭ナール』という番組だったんですけど、その撮影が非常に不愉快だったんですよ」
345
「何があったんですか?」
桐谷
「ロケの大分前に私の部屋を撮影に来たんですけども、私の部屋というのがすごいゴミ屋敷なんですよ。それで、ロケの時に私が出てきたら、アイドルたちが口々に“ゴミ屋敷の人だ!”って言うわけですよ。それで気分を害しまして。そしたらロケが終わってすぐ、カンニング竹山さんがやって来て“桐谷さん、プロ棋士の七段なんですか! すごいですね!”とか一生懸命お世辞を言ってくるんですよ。私も気分が悪いから“ふん!”とか怒っちゃったりして(笑)」
345
「あはは」
桐谷
「その後も『銭ナール』には2回ほど出させてもらったんですけど、毎回、バカにされるんで、しばらく出演依頼を断ってたんですよ」
345
「そうだったんですね」
桐谷
「あまりに私が断るものですから、スタッフの人が“お礼とお詫びを兼ねて、ご自宅までうかがわせてほしい”って言うんです。でも、私の家で会うとなると絶対にスタッフがカメラを持ち込んでくるというのがわかっていましたので」
345
「それまでのパターンで(笑)」
桐谷
「何度かそういうことがありましたので。しかも私は土壇場で断りきれないんですよ(笑)。なので自宅はマズいということで、新宿の甘太郎という居酒屋で会うことになって。そこも私が優待券で払ったんですけど」
345
「どれだけイイ人なんですか(笑)」
桐谷
「で、話を聞いたら、竹山さんがすごく私のことを気に入ってくださってるということで。しかも私が出ること前提で企画書も出来上がっていたんですね。それが、美人三姉妹の怪盗が活躍する北条司の『キャッツアイ』という漫画をもじった、『キャッシュアイ』という企画だったんです。スナックを舞台に、私と竹山さんが、キャッシュアイという美人三姉妹を相手にお金の話をするという。その3人が美人だし、すごく楽しそうな番組なんで出ることにしたんですけど(あっさり)」
345
「あはは。美人共演者が決め手になったんですね」
桐谷
「そうですね。竹山さんが私を気に入ってくださったというのもありますけど」
345
「ちなみに、桐谷さんはどんな女性がタイプなんですか?」
桐谷
「私、美人が好きなんですよ」
345
「やっぱり(笑)。今も吉永小百合さんがタイプですか?」
桐谷
「そうですね」
345
「最近の女優さんで気になる方は?」
桐谷
「松たか子さんですかね。普段は別に好きじゃないんですけど」
345
「好きじゃないんですか(笑)!?」
桐谷
「松たか子さんがお化粧をして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宣伝に出てるんですね。その松さんが素敵で。あとは、山﨑パンの宣伝にも出てるんですね。2つの宣伝の松たか子さんの写真が好きなんです」
345
「限定なんですね(笑)」
桐谷
「ええ。そうですね」
345
「ここ最近、若い女の子にキャーキャー言われる機会が増えたと思うんですけど、そのことについてはどうですか?」
桐谷
「私のガチャガチャだとか本が出たりして、サイン会をやったりツーショットの撮影会をやったりすると若い女の子も結構来てくれるようになりましたね。みんな私の前に来ると、“やばい、やばい”って言うんですよ。私の時代と言葉遣いがあまりにも違うからビックリすることもあります。もちろん女の子のファンがいるのは嬉しいですけどね。去年なんかも、少女向けの『セブンティーン』という雑誌が取材に来てくれたり」
345
「今日みたいに異なるジャンルの人と対談する機会も増えていますか?」
桐谷
「株についての対談というのはありますけど、今日みたいにフリートークみたいな感じの対談はほとんど記憶にないです。なにぶん私が345さんについて詳しくないものですから、対談になっているかどうか、非常に申し訳ないんですけども」
345
「いえいえ。ちなみに今日のお洋服も全部、優待券で買われたんですか?」
桐谷
「もちろんそうです。衣服なんかの優待券もたくさんあるんで。今着てるシャツはヒマラヤというスポーツ用品の店で買いました。靴はアルペンというスポーツ用品のお店で買って。整髪料や育毛剤も全部優待券です。時計はカタログギフトっていう、カタログがもらえる優待を使って買いました」
345
「じゃあ持ち物は全部、優待券で」
桐谷
「この入れ物は(100円ショップの)キャンドゥで購入しました。この中に凍らせた缶ジュースを入れておくんです。そうすると、いつも冷たい飲み物が飲めるというね。この入れ物はいつも持ち歩いています。私は寝不足でいつも映画館に入ると寝ちゃうから、冷やした缶ジュースをこうやって首筋にあてて、眠気を覚ましたりして」
345
「そんな利用法もあるんですね(笑)。映画は結構、頻繁に観にいかれるんですか?」
桐谷
「しょっちゅう観にいきます。最近は映画の評論のお仕事なんかも頼まれる機会があったり。今年も100数十本は観てると思います」

──345さんにお勧めしたい映画とかありますか?

桐谷
「今年観た中で一番よかったのは、『鑑定士と顔のない依頼人』という映画ですね。70代の絵画の鑑定士が主人公なんですが、彼は今の私みたいに孤独な人生を送ってるんですよ。自分の部屋に美女の名画を300点飾ってあるんです。その部屋に入ってくつろぐのが彼にとって最高の幸せなんです。それがある人の仕掛けで、若い女性と大恋愛して結婚することになるんですけど実は騙されているという、そういう映画でね。非常に私と似てるんですよ。孤独な老人で、ひとりぼっちで、若い美女に一目ぼれして結婚するんだけど、実は騙されてたっていう。この映画は345さんにはお勧めできませんけど」
345
「えー! お勧めしたい映画じゃなかったんですか(笑)」
桐谷
「(話に熱中して)あと、今年観た映画では『ラストベガス』という作品も非常に面白かったですね。マイケル・ダグラスさん主演の。69歳の独身男性が、共同経営者が亡くなったのをきっかけに結婚しようと思い立って、40歳ぐらい若い女性と婚約するんですね。で、結婚前日に少年時代の友達3人をラスベガスに呼んでドンチャン騒ぎして。彼は結局、若い女性との結婚をやめて同年代の女性と結婚して、集まった4人の幼馴染も、それぞれ問題を抱えていたんだけど、何十年ぶりかに再会して幸せになって帰っていくっていう。非常にいい映画でして」
345
「ジャンルでいうと、どういう映画が一番好きですか?」
桐谷
「アクション系も好きですが、一番好きなのは探偵ものですね。子供の時に、『少年探偵団』が好きだったんで。ホラー以外はなんでも好きです。でも、昨日観たのはホラー映画でしたね」
345
「えっ?」
桐谷
「一昨日観たのも、なんとか『サベージ・キラー』っていうホラー映画でした」
345
「結構、ご覧になってるんですね(笑)」
桐谷
「優待券がありますので」
345
「ああ。本当に徹底してるんですね」
桐谷
「使わないと勿体ないので、しょうがなしにホラー映画を見てるんですよ。私、ホラーは嫌いですけど、優待券を無駄にするのが、もっと嫌いですから」
345
「実際、無駄にしてしまうこともあるんですか?」
桐谷
「やはりあります。なるべく気をつけて使うようにはしてるんですけど」
345
「でも、400銘柄以上あると、全てを把握するのは大変ですよね」
桐谷
「私の場合、楽しむために優待を貰ってるんじゃなくて、優待に振り回されているようなところがありますね。今なんか、玄関から部屋までダンボールが積んであるんで、通るたびに崩れてくるんですよ。トイレに行くのも大変で。最近は優待で有名になったんですけど、アベノミクスで株価が上がっても、優待を持ってる銘柄を売ると、持ち株が減っちゃうじゃないですか。私は常に400以上の銘柄を持ってることが売りになってるんで。……本当は売って現金にしたいんですよ」
345
「確かにそうですよね(笑)」
桐谷
「でも、そういうわけにもいきませんので」
345
「映画館やジム以外だと、優待でどういうところに行かれるんですか?」
桐谷
「遊園地に行ったりもしました。一時期、私はディズニーランドの株も持ってましたんで、いつもデイズにーランドに一人で遊びに行ってました」
345
「一人で、ですか? 」
桐谷
「ディズニーランドは夜10時が閉店なので、夜になると人が少なくなるんですね。昼間は乗り物も1時間待ちだったりするんですけど、夜だと並ばず乗れますから。結構、乗り物系は好きですね」
345
「もし誰か一緒に行きたいという人がいたら行きますか?」
桐谷
「そうですね。かつては女性と一緒にディズニーランドに行ったこともありましたけどね。今、発売中の『ダイヤモンドZAi』という経済雑誌に私の漫画が3本載ってまして。向こうが勝手に描いてるんですけど、その中の1本が優待デート編というやつなんですよ」
345
「お!」
桐谷
「私が2人の女性と優待デートをして使ったお金が0円だったっていう。それは事実なんですけど(あっさり)」
345
「事実を勝手に漫画化されちゃったんですか!(笑)」
桐谷
「ええ。『日経マネー』から『桐谷広人さんが教える株主優待入門2015』という単行本を出したんですけど、その本の企画で優待投資家の女の子と対談をしたんですね。その彼女が対談後に夕食を食べようっていうんで、銀座に行って優待券で一緒に夕食を食べたんです。その後、有楽町のスバル座でやってた映画に誘ったんですけど、彼女は映画は観たくないっていうんで、映画が好きな知り合いの女性を誘って映画を観たんです。それで映画を観終わった後、マクドナルドで優待券を使って食事をして。それを漫画にされちゃったんですね」
345
「優待券で誰かにご馳走するということには、そんなに抵抗はないんですか?」
桐谷
「むしろ常にご馳走してないと使いきれないんですよ。でも、なかなか友達がいないから結局、期間切れになっちゃうんです。皆さん忙しいですし」
345
「時間を合わせますんで、私にも優待券でご馳走していただけませんか?(笑)」
桐谷
「それは別にいいですけど(あっさり)」
345
「本当ですか!?」
桐谷
「そうですね。新宿あたりまで出てこられるのであれば、別に構いませんけど」
345
「今度、是非お願いします」
桐谷
「いいですよ」
345
「やったー。今日はありがとうございました!」
桐谷
「いえいえ、こちらこそありがとうございました」

text by Satoshi Mochizuki

photo by Kiyoaki Sasahara

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